- バンパー修理とドア修理、損傷別の「修理期間」を徹底比較[2026.02.25]
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この記事でわかること✔
バンパーとドアの修理期間における決定的な違いと、損傷度合いによる目安の日数✔
「板金修理」と「パーツ交換」のどちらが早いのか、それぞれのメリットと納期の関係✔
ディーラーや民間工場など、依頼先選びが修理完了までのスピードに与える影響愛車を擦ってしまったり、予期せぬ接触事故で傷がついたりした際、真っ先に気になるのが「修理に何日かかるのか」という点ではないでしょうか。特に毎日通勤や買い物で車を使用している方にとって、数日間でも車が手元にない状態は非常に不便なものです。しかし、修理期間は損傷した箇所が「バンパー」なのか「ドア」なのか、あるいは「修理」で済むのか「交換」が必要なのかによって大きく変動します。
一般的に、樹脂製のバンパーと金属製のドアパネルでは、作業工程も必要な機材も異なります。さらに、近年の車両には安全支援システムのセンサーが内蔵されていることも多く、単なる塗装や板金だけでは終わらないケースも増えています。ここでは、板金塗装のプロの視点から、パーツごとの修理期間の目安や、納期を左右する具体的な要因について詳しく解説します。
これから見積もりを取る方や、急ぎで直したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1.修理する場所で日数は変わるか
- 2.バンパー擦り傷の修理期間(日帰り~)
- 3.バンパー交換の場合
- 4.ドアのへこみ(板金)の修理期間
- 5.ドア交換の場合
- 6.複数のパネルを同時に修理する
- 7.センサー類(エーミング)の調整
- 8.修理期間を短縮するコツ
- 9.代車の必要性
- 10.見積もり時に納期を確認
1. 修理する場所で日数は変わるか
結論からお伝えすると、車を修理に出す場所によって修理期間は劇的に変わります。「どこで直しても作業内容は同じだろう」と考えがちですが、実は依頼先によって「自社工場で作業するか」「外部に委託するか」という構造的な違いがあるためです。まずは、代表的な3つの依頼先における期間の傾向を整理しました。
自社工場の有無がスピードの決め手
修理を急ぐ場合に最も重視すべきは、その店舗が「認証工場や指定工場を併設しているか」という点です。ディーラーの場合、受付は窓口で行いますが、実際の板金作業は提携している協力工場へ車両を回送することが少なくありません。この「移動時間」と「外注先との調整時間」だけで2〜3日を要することがあり、結果として総納期が延びてしまいます。
一方で、自社に塗装ブースを持つ板金専門店であれば、入庫したその日から作業に着手できるため、無駄なタイムロスを最小限に抑えられます。
得意とする修理内容による違い
修理場所によって、得意とする「守備範囲」が異なります。この選択を誤ると、簡単な修理のはずが長期間待たされることになりかねません。
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ディーラー: 高度な電子制御の再設定や、純正パーツを多用する大規模な交換作業に強いが、軽微な擦り傷でもマニュアルに沿った工程を踏むため時間がかかる。 - ●
板金塗装専門店: 「叩いて直す」「パテを盛る」といった職人技を駆使するため、パーツ交換を避けつつ迅速に修復することに長けている。 - ●
クイック板金(カー用品店など): 作業範囲を限定し、速乾性の高い塗料やUV硬化パテを使用することで、驚異的な短時間での仕上げを可能にしている。
予約状況と部品の流通経路
意外と盲点なのが、工場の混雑具合と部品の調達ルートです。連休前後や台風・降雪の後は事故車両が集中し、どの工場もパンク状態になります。また、ディーラーはメーカー直結のルートで部品を確保しやすい反面、社外品(優良部品)や中古パーツの活用には消極的なケースが多いです。修理期間を重視するなら、中古パーツの探索や社外品の提案を柔軟に行ってくれる工場を選ぶことが、納期の短縮に直結します。
関連記事:修理後の納車までの流れと注意点
2. バンパー擦り傷の修理期間(日帰り~)
バンパーは車のパーツの中で最も傷つきやすい場所であり、その多くは樹脂(プラスチック)で作られています。金属製のパネルとは異なり、「錆びる心配がない」という特性があるため、軽微な擦り傷であれば作業工程を大幅に簡略化することが可能です。そのため、条件さえ整えば「日帰り修理」も決して不可能ではありません。
日帰り修理が可能になる条件
バンパーの傷をその日のうちに直せるかどうかは、損傷の範囲と深さに依存します。具体的には、以下の条件を満たす場合にスピード解決が期待できます。
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傷のサイズ: 一般的に「手のひらサイズ(20cm程度)」以内であれば、部分塗装によるクイック補修が可能です。 - ●
損傷の深さ: 表面の塗装が削れているだけで、バンパー自体に深い亀裂や変形がないこと。 - ●
塗装の種類: メタリックやパールが入っていないソリッドカラーであれば、色の調合と乾燥時間が短縮されます。
部分塗装と一本塗装の期間差
修理の方法には、傷の周辺だけを塗る「部分塗装(ぼかし塗装)」と、バンパーを丸ごと塗り直す「一本塗装」の2種類があります。
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部分塗装(目安:数時間〜1日): 損傷箇所を最小限に削り、パテで成形した後に周囲の色と馴染ませる手法です。乾燥させる面積が小さいため、圧倒的に早い納期が実現します。 - ●
一本塗装(目安:2日〜3日): 一度バンパーを車体から取り外し、全体を均一に塗り直します。仕上がりは新品同様になりますが、脱着作業と広い面積の乾燥が必要なため、最低でも一晩は預ける形になります。
バンパー修理を一日で終わらせるチェックリスト
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朝一番に入庫する: 作業時間を十分に確保するため、開店直後の持ち込みが鉄則です。 - ●
クイック修理専門店を選ぶ: 通常の板金工場よりも、回転率を重視した専門店の方が設備が整っています。 - ●
天候を確認する: 雨天時は塗装の乾燥が遅くなるため、晴天の日を選んだ方がスムーズです。
作業工程ごとの時間配分
なぜバンパー修理にこれだけの時間がかかるのか、実際の工程を知ると理解が深まります。まず、傷を研磨して表面を整えるのに約1時間。次にパテ盛りと乾燥、成形に2時間。下地塗装(サフェーサー)に1時間。そして本塗装と乾燥、仕上げの磨き作業に3〜4時間を要します。
これらを連続して行うことで、ようやく「日帰り」というスケジュールが成り立っています。少しでも乾燥を急ごうとすると、後に塗装の引けや剥がれといったトラブルを招くため、技術者のこだわりが納期にも反映されているのです。
3. バンパー交換の場合
バンパーに大きな亀裂が入っていたり、取り付け部(ステー)が破損していたりする場合、修理よりも「交換」の方が合理的と判断されます。一見、新品に付け替えるだけなので数時間で済みそうに思えますが、実は「部品の発注から到着までのリードタイム」が最大のネックとなります。
パーツ供給の状態による納期の違い
交換が必要な場合、まず部品を取り寄せなければなりません。この取り寄せにかかる日数は、車のモデルやメーカーによって左右されます。
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国内現行車種(目安:1日〜3日): 主要なパーツセンターに在庫がある場合、注文の翌日には工場に届くことが一般的です。 - ●
生産終了・希少車(目安:1週間〜未定): 在庫がなく受注生産に近い状態だったり、全国の解体屋から探す必要があったりすると、大幅に時間がかかります。 - ●
輸入車(目安:2週間〜1ヶ月以上): 国内に在庫がなく、本国(ドイツやアメリカなど)からの取り寄せになると、空輸や船便を待つため相当な期間を要します。
「塗装済みパーツ」と「未塗装パーツ」
新品のバンパーには、最初からボディカラーに塗られている「塗装済み品」と、グレーの下地のみの「未塗装品」があります。近年の新車は、コスト削減のため未塗装品しか供給されないケースが増えています。
塗装済み品であれば、届いたその日に脱着(約1〜2時間)するだけで完了しますが、未塗装品の場合は届いてから工場で現車に合わせて色を調合し、塗装する工程が必要になります。これにより、パーツが届いてからさらに2〜3日の作業期間が加算されることになります。
内部損傷の確認リスク
表面のバンパーを外してみたら、その内部にある「レインフォースメント(骨組み)」や「ラジエーターサポート」まで歪んでいた、というパターンは珍しくありません。この場合、追加の部品発注が必要になり、当初の予定よりも納期が数日間延びることになります。特に強い衝撃を受けた自覚がある場合は、見積もり時点で「中が壊れていた場合の追加日数」を確認しておくのが賢明です。
4. ドアのへこみ(板金)の修理期間
ドアの修理は、バンパーと比較して難易度が跳ね上がります。その理由は、ドアが金属(鋼板)でできていること、そして「面の平滑さ」が非常に目立つ場所であることにあります。少しでも歪みが残ると光の反射で一目で分かってしまうため、作業は慎重かつ多段階に進められます。
板金作業の基本工程
ドアのへこみを直す際、まずは「板金(叩き出し・引き出し)」を行います。内張りを外して裏から叩く、あるいは表面にワッシャーを溶接して引っ張り出すという非常にアナログな職人技です。この工程だけで半日から1日を費みます。
その後、金属表面の凹凸をパテで微調整しますが、ドアは面積が広いため、乾燥時にパテが痩せてしまわないよう、何度も塗り重ねと乾燥を繰り返します。この「乾燥待ち」の時間が、バンパー修理よりも長くなる大きな要因です。
隣接パネルとの「色合わせ」の問題
ドアを修理する際に避けられないのが、前後のパネル(フェンダーやリアクォーター)との「色ボカシ」作業です。どれだけ正確に色を調合しても、新車時の塗装と経年劣化した塗装では完全に一致しません。そのため、修理したドアだけでなく、隣のパネルまで薄く塗装を広げて色の違いを分からなくする技術が使われます。
これにより、以下の理由で納期が延びます:
- 1. 養生(マスキング)の範囲が広がる: 車の半分近くをビニールで覆う作業に時間がかかる。
- 2. 塗装面積の増大: 塗る範囲が広ければ、当然乾燥させる時間も比例して増える。
- 3. 磨き工程の増加: 塗装したすべての範囲を磨き上げる必要がある。
このため、ドア1枚の板金修理であっても、通常4日〜1週間程度の預かり期間が必要になるのが一般的です。
プレスラインの修復難易度
ドアにはデザイン上の「プレスライン(折れ目)」がありますが、このライン上にへこみがある場合、さらに期間を要します。ラインを完璧に再現するには高度な技術が必要で、少しずつ形を整えては確認する作業を繰り返すためです。また、最近の軽量化されたアルミ製ドアの場合、従来の板金が不可能で「即交換」となるケースもあり、素材によっても判断が分かれます。
関連記事はこちら:修理期間が延びる原因と対策
5. ドア交換の場合
板金では修復不可能なほど激しく変形している場合や、サイドインパクトビーム(内部の補強材)にまでダメージが及んでいる場合は、ドアパネルごとの交換となります。ドアの交換は、実は「板金修理よりも時間がかかる」ケースが多いことをご存知でしょうか。
脱着に関わる膨大な付帯作業
バンパー交換と違い、ドア交換には非常に多くの部品の移設作業が発生します。新品のドアパネルは通常「ただの鉄板」の状態で届くため、古いドアから以下のパーツをすべて移植しなければなりません。
- ● ガラスおよび昇降メカニズム(レギュレーター)
- ● ドアミラー・アウターハンドル
- ● パワーウィンドウスイッチ・配線類
- ● 防音材・防水シート・内張りパネル
これらの移植作業は、熟練のメカニックでも数時間を要する繊細な作業です。一つでもクリップが割れたり配線が噛んだりすれば、異音や動作不良の原因になるため、非常に神経を使います。
塗装工程の複雑化
ドアを交換する場合、パネルの「表側」だけでなく「裏側(内側)」や「枠の部分」の塗装も必要になります。新品のドアは電着塗装という黒やグレーの下地状態で届くため、ボディカラーと同じ色に丸ごと塗り直さなければなりません。
さらに、ドアを車体に取り付けた後に、先述した「隣接パネルとの色合わせ(ボカシ塗装)」もセットで行われます。「部品の移植 + 両面塗装 + 隣接パネルのボカシ塗装」というフルコースになるため、最低でも1週間〜10日、混雑時や輸入車であれば2週間以上かかることも珍しくありません。
建付け調整という最終ハードル
ドアは単にボルトで固定すれば良いわけではありません。ミリ単位で位置を調整し、隙間(チリ)が均一になるように、そして「半ドア」にならずにスムーズに閉まるように微調整を繰り返します。特に事故の衝撃で車体側の柱(ピラー)が歪んでいる場合、この調整に膨大な時間がかかることがあります。
見た目は直っていても、走ると風切り音がする、雨漏りがするといったトラブルを防ぐために、この「建付け調整」には丸一日かける価値があるのです。
6. 複数のパネルを同時に修理する
単一の箇所だけでなく、バンパーとフェンダー、あるいは前後のドアなど、「複数パネルにまたがる損傷」を修理する場合、期間の計算は単純な足し算にはなりません。作業効率が上がる面と、工程が複雑化する面の両方が存在するためです。ここでは、複数箇所を同時に直す際のスケジュールの考え方を詳しく紐解きます。
作業の「重複」による効率化のメリット
複数のパネルを一度に修理する場合、個別に修理に出すよりもトータルの期間を短縮できる要素があります。これは、板金塗装の工程において「準備」と「乾燥」に多くの時間が割かれるためです。
- ● 塗装の準備(マスキング)の一本化: 隣接するパネルであれば、一度の養生作業で済むため、別々に作業するよりも数時間の短縮になります。
- ● 調色作業の共通化: 塗料を一度に調合できるため、色の微調整をパネルごとに行う手間が省けます。
- ● 乾燥ブースの同時利用: 塗装後の焼き付け乾燥を複数のパネルで同時に行えるため、「待ち時間」の重複を排除できます。
損傷の深刻度による期間の「上乗せ」
一方で、単なる擦り傷ではなく、広範囲に及ぶ歪みがある場合は、作業時間が大幅に加算されます。特にフレームの修正が必要なレベルになると、ミリ単位の計測作業が入るため、1パネル増えるごとに3〜4日の追加期間が必要になることもあります。
修理品質とスピードのバランス
「複数箇所あるから、安く早く終わらせたい」という要望は多いですが、短期間で無理に仕上げようとすると、乾燥不足による塗装の曇りや、見えない箇所の防錆処理の甘さにつながります。特に、接合部(パネルの隙間)の処理は、後からの錆の発生に大きく関与します。急ぎであっても、各工程の乾燥時間をしっかり確保しているか、工場側に確認することが重要です。
参考ページ:修理期間中の代車利用とその手続き
7. センサー類(エーミング)の調整
近年の自動車修理において、納期を左右する最も新しい要因が「エーミング(機能調整)」です。自動ブレーキや車線逸脱警報などの先進運転支援システム(ADAS)を正しく機能させるための校正作業ですが、これだけで修理期間が1〜2日延びるケースが標準化しつつあります。
エーミング作業が必要になる理由
単なる外装の傷であっても、パーツを「外す」だけで再設定が必要になるのが現代の車です。以下のような作業が含まれる場合、必ずエーミングの工程が発生します。
- ● バンパーの脱着・交換: 内部にミリ波レーダーや超音波センサーが装着されている場合、微細な位置のズレがシステムの誤作動に直結します。
- ● ドアミラーの交換: アラウンドビューモニター用のカメラが内蔵されている場合、カメラの画角を再キャリブレーションする必要があります。
- ● フロントガラスの交換: 自動ブレーキ用のステレオカメラが設置されているため、最も厳格な調整が求められます。
特定整備制度と納期の関係
エーミングは「特定整備」という法的な枠組みに含まれており、認定を受けた工場でしか行えません。もし依頼した板金工場が認定を受けていない、あるいは対応する診断機を持っていない場合、「車両をディーラー等へ持ち込んで外注する」という工程が加わります。
この持ち込み調整だけで往復1日、ディーラーの予約状況によってはさらに数日待機することになります。自社で最新の診断機と広大な作業スペース(ターゲットを置くための空間)を備えている工場であれば、修理完了の当日に調整まで終えられるため、納期が大幅に早まります。
エーミングによる納期延長を防ぐ3つのチェック
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自社診断機の有無を確認: 外注に出さない工場を選ぶのが最短ルートです。 - ●
車種別の対応可否を聞く: 特殊な輸入車などは、工場にデータがない場合があり、事前の確認が必須です。 - ●
純正部品の使用を検討: 社外品パーツではセンサーが正しく検知しないリスクがあり、再作業のロスを生む可能性があります。
安全性とスピードのジレンマ
「センサーの調整はいらないから、見た目だけ直して早く返してほしい」という要望を耳にすることがありますが、これは非常に危険です。安全システムが正常に動作しない車を公道に戻すことはできないため、現代の修理においてエーミングの時間は「削れない必要経費(時間)」として捉えるべきです。
8. 修理期間を短縮するコツ
少しでも早く愛車を取り戻すためには、ユーザー側の「事前の準備」と「適切な判断」が欠かせません。ただ待つのではなく、戦略的に修理を進めるための具体的なテクニックを解説します。
見積もりと入庫タイミングの最適化
修理期間を左右するのは、作業そのものよりも「待ち時間」です。このダウンタイムを最小化する手法が有効です。
- ● 画像見積もりの活用: LINEなどで傷の画像を送ることで、来店前に概算納期を把握し、必要な部品を先にキープしてもらえる場合があります。
- ● 月曜入庫を避ける: 週末に発生した事故車が月曜に集中するため、週の半ばに入庫させた方が作業の順番待ちが少なくて済む傾向にあります。
- ● 部品が揃ってから入庫: 自走可能な状態であれば、先に部品を発注してもらい、モノが届いた連絡を受けてから車を預ける「後日入庫」が最も手元に車がある時間を長く保てます。
修理内容の優先順位を伝える
「100点満点の完璧な仕上がり」を求めると、時間は無限にかかります。納期を最優先する場合、以下のような提案を工場に投げかけてみてください。
- 中古パーツの持ち込み、または探し依頼: 新品パーツが欠品している場合、全国のネットワークから同色の良質な中古を探すことで、塗装工程そのものをスキップできます。
- ボカシ塗装の省略(納得の上で): 色の僅かな違いを許容できるのであれば、隣接パネルへの塗装を省くことで、作業工程を1〜2日短縮できます。
- タッチアップでの一時対応: 致命的な凹みだけを板金し、細かい傷は後日自分で直す、あるいは工場に簡易的な筆塗りを依頼することで、塗装ブースの空き待ちを回避できます。
支払い方法の事前決定
意外な落とし穴が、修理完了後の「お金」のやり取りです。車両保険を使う場合、保険会社との協定(金額の合意)が終わらないと出庫できないケースがあります。見積もり時に「保険を使うか自費か」を即断し、保険を使うなら担当者に「急いでいるので早めの協定をお願いします」と一言添えるだけで、事務的な遅延を1〜2日防げます。
9. 代車の必要性
修理期間中の足として欠かせない代車ですが、この確保状況が「修理の着手」そのものを遅らせてしまうことがよくあります。代車を賢く手配することも、スムーズな修理には不可欠な要素です。
代車待ちによる修理の遅れ
人気の板金工場やディーラーでは、「作業は空いているが、代車の空きがない」ために、入庫が2週間先になるという事態が頻発します。この場合、以下の代替案を検討しましょう。
- ● レンタカー特約の有無を確認: 自身の自動車保険に「レンタカー費用特約」が付帯されていれば、保険会社がレンタカーを手配してくれます。工場の代車を待つ必要がなくなるため、すぐに修理を開始できます。
- ● 有料代車の検討: 無償代車にこだわらず、1日2,000円〜3,000円程度の格安レンタカーを自費で借りることで、待ち時間を買うという考え方もあります。
代車の種類と保険の適用範囲
代車を借りる際、最も注意すべきは「もし代車で事故を起こした場合の補償」です。
- 1.工場の代車: 工場が加入している保険が適用されるか、自分の保険の「他車運転特約」を使うことになります。事前に確認しておかないと、万が一の際に修理代以上の出費になりかねません。
- 2.レンタカー: 補償が完備されているため安心ですが、その分費用がかかります。
代車トラブルを避けるためのチェックポイント
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燃料の返却ルール: 「満タン返し」が基本ですが、工場によっては独自のルールがあるため事前に確認しましょう。 - ●
禁煙・ペットの可否: 次の利用者のために厳格に定められていることが多く、違反すると清掃料を請求される場合があります。 - ●
チャイルドシートの移設: 代車には基本的に用意されていないため、自分で付け替える時間を考慮して入庫スケジュールを組みましょう。
代車を借りないという選択肢
もし可能であれば「代車不要」と伝えることが、修理を早める最大の裏技です。工場側は代車のやりくりに常に頭を悩ませているため、「車を預けるだけでいい」という顧客は優先的に受け入れられやすい傾向にあります。徒歩や自転車、公共交通機関で対応できる範囲であれば、検討の価値があります。
10. 見積もり時に納期を確認
最後に、修理を依頼する「決定的な瞬間」である見積もり時に、何を、どのように確認すべきかをまとめます。ここでのコミュニケーションが、後の「言った言わない」のトラブルを防ぎ、確実に納期を守らせる鍵となります。
「最長」と「最短」のスケジュールを聞く
単に「いつ終わりますか?」と聞くのではなく、リスクを織り込んだ聞き方をするのがスマートです。
- ● 最短ケース: 順調に工程が進み、部品も即納された場合の最短日数。
- ● 最長ケース: 内部損傷が見つかったり、塗装の乾燥が遅れたりした場合の最大日数。
- ● 中間地点: 実際にはどのあたりに落ち着くことが多いのか、技術者の「経験則」に基づく予測。
納期遅延の要因をあらかじめ把握する
見積もり書を受け取る際、以下の要素が期間に含まれているかを確認してください。
- 1. 部品の納期回答はいつ出るか: 見積もり当日に部品の在庫状況まで調べてくれる工場は信頼できます。
- 2. エーミング作業が含まれているか: 後から「センサー調整が必要だったのであと3日かかります」と言われるのを防げます。
- 3. 週末をまたぐかどうか: 土日休みの工場の場合、金曜に入庫すると2日間の空白時間が生まれるため、その確認が必要です。
「納期優先」の意思表示を明確に
工場側は、仕上がりの質を追求するあまり、納期を二の次にしてしまう職人気質な面があります。「仕事で使うので、多少の色の違いは構わないから○日までに返してほしい」といった、自分にとっての譲れないラインを明確に伝えることで、作業の優先順位や手法を調整してもらえます。ただし、物理的に不可能なスケジュールを強いると作業ミスを招くため、専門家の意見には真摯に耳を傾けることも忘れないでください。
修理期間の全体像を把握し、納得のいく修理を
車の修理期間は、単なる損傷の大きさだけでなく、パーツの種類、作業場所、最新機能の有無、そして代車の手配状況といった複数の要因が複雑に絡み合って決まります。バンパーの軽微な傷であれば日帰りも可能ですが、ドアの交換や先進支援システムの調整が絡むと、2週間近い期間を要することも決して珍しくありません。この記事で解説した期間の目安や短縮のコツを理解していれば、急なトラブルの際も落ち着いて最適な選択ができるはずです。
明日から実践できるアクション
- ● まずは自分の車の傷が「バンパー(樹脂)」か「ドア(金属)」かを確認し、素材による期間の違いを念頭に置きましょう。
- ● 見積もりを取る際は、電話一本で「代車の有無」と「自社でのエーミング対応が可能か」の2点をまず確認してみてください。
焦って不適切な修理を選んでしまうと、後からの不具合でさらに時間を浪費することになります。確かな技術を持つ工場を見極め、愛車を最善の形で、最短で取り戻しましょう。
修理期間に関するよくある質問
Q. バンパーが少し割れていますが、修理と交換どちらが早いですか?A. 在庫があるなら「交換」、ないなら「修理」の方が早い傾向にあります。
塗装済みの新品パーツがメーカーに在庫していれば、届き次第数時間で交換できます。一方で部品が欠品している場合、熟練の職人なら樹脂溶接で1〜2日で修理可能です。
Q. 雨の日は修理期間が延びると聞いたのですが本当ですか?A. 塗装ブースのない簡易的な工場では延びる可能性があります。
湿気が高いと塗装の乾燥が遅くなるため、設備が整っていない場所では納期が1日程度延びることがあります。本格的な焼き付け乾燥ブースがある工場なら天候に左右されません。
Q. 輸入車のドア修理はなぜ1ヶ月もかかることがあるのですか?A. パーツの海外発注と、専用塗料・技術の確保に時間を要するためです。
国内に在庫がない場合、本国からの航空便や船便を待つだけで2〜3週間を費やすことがあります。また、特殊な塗装工程が指定されている場合、対応できる職人が限られることも要因です。
Q. 見積もりでもらった納期より早まることはありますか?A. はい。ただし、無理な催促は仕上がりの低下を招くため禁物です。
乾燥が予想よりスムーズに進んだり、部品が予定より早く届いたりすれば早まることはあります。工場の信頼関係を崩さない程度に「進捗確認」の連絡を入れるのは効果的です。
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